CONNECT / 110225 shotahirama

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Anarktyp [6' 49" ]
byENG

[13]EGが09年に発表したPulsionについて当時僕がgrafkavanで書いたテキストを今回ここに掲載させて下さい。“文句無し。スパニッシュテクノイズながらも上品なイタリア寄りの複雑系マリネッティ未来派野郎共がテン年代突入前に魅せた渾身のタイトルがGeometrikから。私のJANDEATH名義のソースモデルにしています、EGことEsplendor Geometricoの新作が2009年My Favorite Thingsの1位です。なんだかムスリムガーゼに日に日に近づいてきたアラビックトライバルなリズムコンポジション、少し遅めがより気持ち悪い、所謂テクノミュージックにダダ万歳と叫んだ反体制すぎる程勇ましく落ち着きないリズムプログラム。ミニマル?しらねぇな。しかし構成主義の道は外れない、男道、カンディンスキーありがとう。TG(おもちゃ※ブッダマシーン※売るのに必死なくせに)にもNE(ノイバウテン?しらねぇな。あんただよ、ノクターナル!)にも愛想つかれたこの20年間今日この頃、家畜解体工場の地下で腐ったオイルと豚の精液にひたひたに漬け込まれた金属音響は遂に出荷先が見つかったか、卸無視の直輸入品、完璧な仕上がり、見事なノイズ。牛の情緒不安定な鳴き声にカラスのクチバシを引きちぎる音が混ざった雑音、そんな音でどや顔にウィンクする2人のスペイン人。うざい。自慢げに操るlaptopは申し訳ないが誰でも買える簡単なシーケンスソフト、操ってる本人も本人だが画面内のモジュールさんたちもマスターを完全無視、スレイブとなった彼らも自由に躁鬱状態。これで踊れちゃPAN SONICに申し訳ない。が、しかし、だから、やばいかっこいい。悪趣味万歳。EG強し。んぁ、彼らのこれまでの作品がずらっと紙ジャケとなって最近出たんだけど、オリジナルで皆様探してください。カセットだろうとも手に入れるのです。キャプテントリップには申し訳ないけど、紙ジャケ反対。EGをみんなで守りましょう。”

[14]Pe Langはスイス人で現在はベルリンを拠点に活動するオブジェクトアーティスト。スイスアートアワードをゼロ年以降に二度受賞する、スウィツランドミニマリズムとでも呼ぶべき無機的なサウンドデザインを得体の知れない電子部品ばかりを組み合わせ構築した”マシーンオブジェクト”で発生させ、それらロボットを陳列、配置する事により有機的、動物的なテクノロジーとその生命、音を物質的に表現する。現代アート界で今最も注目されているPe Langの日本初展示。今回展示された作品は主にマグネットをソースにインダストリアルデザインとコンピューター制御という産業革命後の残りカス二項目を可視化してみせたテクノイズとも呼べるアート作品ばかりが並び、彼のルーツを知る事が出来る大変興味深い内容だった。

[15]2007~2009。2007年、サイドプロジェクトとして東京在住のlaptopアーティスト、Kendrienと共にミニマルミュージックへの傾倒によりcOLLAGEを結成。プログレッシブなレイヤー運動を繰り返す重厚なシンセサイザーは超現実を唱うシュールレアリスムな世界観を提示、夢と現実の狭間を彷徨うミニマリズムの美学に取り憑かれたKendrienのクリックはティルマンスの様に仄暗く物悲しい。テクノミュージックの機能面に音楽の可能性よりも美学的価値観を求めたcOLLAGEは2009年頭に消滅するも、その徹底したコンセプチュアリズムは今も深くshotahiramaのクリエーションに根付いている。

レディメイドの乱用と変容 グロテスクな幻想を背後に病的もしくは性的な具音が持続、反復、コラージュといった運動により形成されていく音楽

[photo collage by shotahirama]

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- 平間さんはENGの他にJANDEATHやshotahiramaという名義でのリリースも多数されており、音楽性や指向性によってそれらの名義をかなり意識的に使い分けられているように伺えます。平間さんの制作活動においてこれらの名義は互いにどのような関係をもち、影響を与え合っているのでしょうか?

- 昨年、SIGNAL DADAというレコードレーベルを新たに立ち上げられました。また、近年ではオペラ脚本の翻訳や、mAtterから文学作品をリリースされるなど、他分野とのコラボレーションや多方面での幅広い(まさにスリップストリームな)ご活躍をみせていらっしゃいます。こうした新たな動きは平間さん自身がライフワークと位置づけられているENGの活動やビザール作品へとどのようにフィードバックされ、アップデートされるのでしょうか?

名義の分散化、これはかなり意図的/意識的に使い分けています(笑)。理由は、まぁその方が個人的な意識の問題として整理がつきやすいって、とても事務的な理由がメインです(笑)おしゃれに言うなら、パブリックイメージのコントロールもありますかね。
例えばJANDEATH名義ではモダンミュージック以降、その定義付けをする上で最も重要視されている「リズム」というファクターにこの名義ではとことん取り組もうとして始めたプロジェクトです。スパニッシュテクノイズや(MSBの作品名)もちろんEG[13]ですね。
そしてアントゼンのコンバーターやBIPOL等のゼロ系統のテクノイズマシーンには最高に影響を受けています(05年のAnt-zenより発表されたExpansion Pack 2.0はニューエイジに突入したテクノイズ論を語るうえで外せない一枚)。

それだけでなく、ニュースクール以降のヒップホップですかね、ネイティブタン(グ)系統(ATCQ、blacksheep、blackmoon)からニュージャックまで、キックよりもスネアとクラップといった例えばリズムマシーンとかでプリセットに入っているようなチープなクリック部分を過剰に強調したリズムシークエンスを組んでいました。Mille Plateaux解散以降Raster-noton回収以降の連中で言う所のSNDやフランク・ブレットシュナイダー、さらにはあのシーンでは唯一フォースインク組に回収されなかったオウテカの2人も、彼らは皆リズムというタームにモダニズムなアイディアで取り組んでいる重要なアーティスト達だと思っています。

で、当時良く遊んでくれたMICLO DIETのやすくん(東京・落合の地下空間を拠点にSOUPなるコミュニティでゼロ年代半ばから東京のテクノ、アヴァンシーンでは必要不可欠なガレージクラブとなる、その組織の一員。現在オプトラムの伊東先生とタッグを組んだウルトラファンクター名義で活動する)は特別大きいかな。彼に会わなかったら僕はReaktorもElektronも使っていなかったですからね。
彼はリズムやクラブカルチャーをとっても楽しんでいたし、そもそも4kick以外のテクノミュージックであんなに挑戦的なステップシークエンスを組み込むという(シンセサイズドされた波形をポリリズムからモノリズムにアップデートし、さらにはそれらが有機的に絡み合う正にコンクレートストラクチャー)彼の、もしくは僕が前述した様なアーティスト達全員にも言えるんですが、そのリズムパターンの多様さに興奮しました。MICLO DIETのテクノイズは相当エキサイティングですよ。だから僕もやってみよう!って(笑)

NI. 1

NI. 2

NI. NEUBAUTEN(NIkO Label)

補足ですが、その昔NI.という名義もあったんです、マニアックな方はご存知かもしれませんが(笑)香港在住のyy_zzさんというアーティストと、まぁこれこそ「遭遇可能性や検索可能性」ひしめくインターネット以降、この場合myspace以降ですかね、だからこそ実現できたプロジェクトだったんですが、彼とそういった疑似空間、ソーシャルネットワーク上で知り合い、パーツファイル交換をし、作品を構成していく。
これも実はリズムにかなり特化したもので、政治的なコンセプトはあったんですが音楽的思考/指向が結果優先(さらにはそれすら僕は独占)してしまいわずか数作品(Edition NIkOから、当時はまだNIkO Labelという表記で僕が運営していた非営利のネットレーベル、そこからリリースしたNEUBAUTENという作品がNI.での最後の作品かな。作品には大阪や京都、福岡等から集まって頂いたアーティスト達にファイルを預かってNI独占で構築していくもの)で解散してしまいました。それがJANDEATHという名義で後に始動する際にステップス的な経験になっているのが実はとても重要な事実だったので、あくまで補足として。
shotahirama名義もかなり意識的なものだったんですが、結果今ではこれが母胎だと思われていますよね。まぁそもそもが本名であるという事に関係してるんでしょうけど、でも僕じゃない、僕の第二空間的なアプローチ、ゾーニングを意図したものです。
この名義ではご覧の通り、何でも活動出来るフリースタイルな、あるひとつのセッティングに特化しない、あまり限定させない事を心がけています。 続く質問でも答えていきますが、文学的なものからシンプルに音楽的なものも、もちろんアートにも強くベクトルを置いているし、今進行中のプロジェクトの中にはファッションへの傾向が強いものもあります(意外でしょうが、僕はそもそも服飾専門の学生でした)
まぁ要するに、限定しない活動概念をもった、よりアーティストワークに集中した名義ですね。音楽名義というよりはアーティストとして活動する上での全体的な名称をshotahiramaと呼べばいいかな、っていう具合に。
で、これら複数の主体が非同期的に起動してると思ったら、それは大間違いで。実はこれらのネットワークシステムにも「見えないアーキテクト」が存在するんです。

先日mAtterが恵比寿gift_labでキュレーション(企画展示)をしたPe Lang[14]エキシビション。その流れで突如浮かんだスカイプによるアーティストトークなるインタビューセッションというのをやったんですね(2010年の11月14日)お客さんを入れて。僕はグダグダの通訳、翻訳ながらインタビュアーとして参加させてもらって。
あの時、インタビューの後半頃かな、Q&Aでお客さんから「何故マグネットを使うのか?」というお客さんの質問でPe Langが「一つのエレメントに対しもう片方、もしくは双方が影響し合う、つまりは連鎖する、例えば反復や持続、増幅、増殖、移植、移行、移動、もしくは中間、くっついたり離れたり、それら変化運動の最もベーシックなプログラミングを、コンピュータープロセスが一切必要ない、つまりパッチングやワイヤリングがいらない状況で可視化、具現化出来る、シンプルでミニマルなセッティングにてエレメント同士の運動を表現出来る所に魅力を感じる」と言っていました。僕のそれぞれの活動も一つのエレメントに過ぎないんです。エレメントを一つ、また一つと始動させるその瞬間はあまり何も考えず、イメージのコンクレタイズに必死で、その後の連鎖、つまり自分の母胎にどう影響が出てくるのかを気にもせずにがむしゃらにやるんです。

このPe Langとのインタビュー通訳にしろ、今受けているENG名義での作品に対するインタビューという仕事も、mAtterから出す文学作品も、オペラ脚本の英訳(古舘徹夫氏作品で2011年ドイツ公演予定)、前述したJANDEATHにしろ、ひとつひとつのエレメント単位で色々な分野、場所に自分の遺伝子を組み込んだエレメントをセットしていくんです。
そして何年後か、もしくは数日後か、それらエレメント同士がコネクトし始める。Pe Langが言っていたエレメントが変化運動を始める、エレメント同士が自然に組織化を始める、そのケミストリーやフィジックス的な効果が産まれてくる。この「エレメントが組織化する運動」の具現的行動の一つが、僕が今やっているスリップストリームな活動、という行動だと思うんです。

そもそも飽きやすい性格だし、ENGだけだとつまらないから、JANDEATH名義を、cOLLAGE名義[15]をとか名義を分散化させる事もそうだし、shotahiramaにおいて、mAtterで活動したりSIGNALDADAで活動したり、その先々で離散的にエレメントをセットし、その後は回収せずそれぞれが呼吸し合う運動変化が見られるまで待つんです。そういったネットワークシステム「見えないアーキテクト」で得られるものを結果的にENGにフィードバックさせインプットする。ENGの体内でビザールへ変換させる。そうか、僕のマザーシップはENGなんだ、と実はようやく最近思い始めてきたので(笑)すべてはENGの為です。10年後は違う事言ってるかも(笑)

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